ICU患者のストレスについて考える

ICUは重症患者さんに、集中的な医療・看護を提供する場です。

生命が最優先とされてきた背景から、患者さんが過ごしやすいようにではなく、医療従事者が働きやすいように作られてきた背景があります。

そこにいる患者さんは、とても多くのストレスを経験しています。

とはいうものの、そのストレスの内容はどのようなものか?

なんとなく想像はできますが、それって本当にそうなのか?

また、そのストレスに何が関連しているか?

今回は、このような疑問に応える、ICU患者100名(実際は96名)に聞きました!という研究をご紹介します。

研究のタイトル 「12時間以上人工呼吸管理を受けたICU入室患者のストレス経験」

日本集中治療医学会雑誌に2017年の7月にupされています(日集中医誌 2017;24:399-405.)。

研究対象は12時間以上挿管されたICUの患者でせん妄、認知症の患者さんは除外されています。

研究方法は、ICU Stressful Experiences Questionnaire(ICU-SEQ) の日本語版の34項目の質問紙を用いたインタビューです。

さて、1番のストレスは何だったのでしょうか?

結果はこのように、「口渇」、「会話困難」、「動きの制限」、「気管チューブによる苦痛」、「痛み」や「緊張」がストレスの上位でした。

私的に興味深かったのは、ストレス経験項目のうち人工呼吸管理の記憶がないと答えた方が10名いたのですが、ICU-SEQJ合計点が 66.89±25.1点に対し、覚えている方は89.71±23.0点で有意に低くなっています(P= 0.02)。

ICU 退室後のpost-intensive care syndrome(PICS)が注目され、浅鎮静や無鎮静が主流になってきていてています。

ICU内での記憶の欠如や歪みは、退室後の精神症状に影響を与えるため、ICU日記などの関わりが効果的とも言われています。

この辺の領域はもう少し丁寧に、時期や内容、中長期的なアウトカムを含めて今後の課題としていく必要があるのだなぁと改めて感じました。

看護師が介入できることも多そうですよね。

この研究は、患者さんの声を直接聞けたとても学ぶことの多かった研究です。 患者さんの体験なしにICUの看護は成り立ちません。 主役はいつも患者さんです。

ご興味のある方は、ぜひ 論文をみてください♪

よーし、頑張るぞ!
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