ICUのベットサイドの写真
写真の持つパワーってすごいなぁと、日々感じています。
今年は文春砲でお茶の間のニュースは持ちきりでしたが、あれだって写真がなければインパクトは半減してしまいます。
スーダン・ソンダクは著書の写真論の中で「写真は時間だけでなく空間の薄片でもある」と言っています。
だからこそ、NASAが撮影した「ザ・ブルー・マーブル」をみれば地球のはかなさを感じ、南北戦争での「死の収穫」という写真を見て街にいながらにして戦争を感じることができるわけです。
たった一枚の紙が、時間や空間を超えて、私たちの心を動かします。
ICUで働いていると、時々写真を持ってきてくれるご家族に遭遇します。
元気な頃の患者さんの生き生きとした姿を見ると、その患者さんに対する関心が高まり、その人に合わせた介入がないか模索し始めたりします。
ICUは具合が悪くなってから患者さんに関わることが多いので、写真の元気だった頃の姿や、背景に映る暮らしぶりは、私たちにインパクトを与えます。
ICUのベットサイドにある写真は、私たち看護師にとってどのような意味があるのでしょうか??
そんな、素朴な疑問を解決するためには、まず文献検索をしてみると良さそうですよね。
調べてみるといくつか文献が出てきます。
ここでは、2013年のIntensive and Critical Care Nursing
という雑誌の Patient photographs—–A landmark for the ICU staff: A descriptive study”という論文を紹介します。
17項目のアンケート用紙をICUスタッフに使用した結果がのっています。
各質問項目を、1(強く同意する)、2(同意する)、3(同意しない)、4(強く同意しない)の4段階で評価しています。
ざっと見ると、2番と3番の質問項目が得点が低いので(赤い枠)、皆さんが同意している内容と解釈できます。
2は、写真は、患者を一人の個人として関連付けるのを助ける
3は、自分の実践において、患者を個人として知ることは重要だ
というような項目に、皆さん同意している感じです。
一方で、14,15,16番の質問項目は得点が高くなっているので(青い枠)、皆さんが同意していない内容だと解釈できます。
14は、一般的に、写真は患者が受けるケアに違いをもたらす
15は、写真は私のケアを妨げることがある
16は、写真は、私がいつも望んでいるよりも感情的に患者に関わるように感じさせる
というような項目に、皆さん同意していない感じです。
他にも自由回答に関して、
“getting closer and see the person”と “a landmark bringing hope”という2つのカテゴリーが生成されています。
なんとなく、私がICUのベットサイドで写真を見て感じた感覚と、スウェーデンのICUスタッフの感覚が似ていることや、
そういったことをしっかりと研究的に調査する姿勢に感銘を受けました。
そこで、私も質的に“ICUにおける看護師にとってのベッドサイドの写真の意味”について調査しようと思いました。
私は、看護師にとっての写真には、17項目の質問用紙では測りきれない意味があるのではないかと考えました。
そこで、じっくりと写真について具体的なエピソードを通して、何を感じ考え行動したかをインタビューしました。
さて、結果はいかに???
研究の具体的な内容に興味を持ってくださった方は、
日本クリティカルケア看護学会誌13巻3号P11-20(2017)を見ていただけると嬉しいです。
日々何気なく感じることも、一つ一つを流さず向き合うことで、見えてくるものって多いなぁ、と感じます。
毎週日曜日にブログ更新予定(あくまで予定です)!
よーし、がんばるぞー!!!
応援よろしくお願いいたしますm(__)m♪
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