昨年の6月に抄読会を担当させてもらったので、ここで紹介します。
今回読んだ論文は、 Effect of Palliative Care-Led Meetings for Families of Patients With Chronic Critical Illness という超有名雑誌JAMAからのものです。
Chronic critical illness(CCI)は急性の疾患により長期の人工呼吸器や生命維持療法を必要とし、数日から数週間以内に回復も亡くなることもない時に考慮されます。
Am J Respir Crit Care Med. 2010;182 (4):446-454.
クロニッククリティカルイルネス、「CCI」という言葉が最初に使われたの1985年の“to save or let die”という論文です。
一昔前までは、急性疾患になった患者さんは、すぐに良くなるか、急性期のうちに亡くなるかだったわけです。
しかし、医療の進歩により人工呼吸器や、高度な医療・看護により生命が助かるようになってきました。
そしてCCIという患者が増加してきています。
CCI患者はQOLが低下した状態で長期の生命維持装置の使用が必要になります。
急性期を乗り切ったという思いが医療者にもあるため終末期の見極めが難しく、家族も受け入れ難い場合があるようです。
この研究は簡単に言うと、CCI患者の家族に緩和ケアの専門医が介入すると家族の不安と抑うつは改善するのかを調査しています。
介入は緩和専門医による2回の面接です。 多施設RCTでやっているのがすごいと思いました。
結果は、緩和専門医の介入により、不安や抑うつ症状は減らずにPTSDが増加したという予想外なものでした。
考察として、
1. 対照群でも高い理解があった可能性
2. CCIに関連した家族の高いストレスに対して介入が不十分だった可能性
3. 緩和専門医の介入が制限されていた
の3つが挙げられていました。
まぁ、普通に考えても長期のCCI患者の家族に、たった平均1.4回の面接で不安やうつが減るとは思えないなぁ、なんて思っちゃいますけど。
結論は
•CCI患者の家族において通常のケアと比較して緩和専門医の説明と情緒的なサポートは、不安や抑うつ症状を減少させることなく、PTSDを増加させる可能性がある
•これらの知見は、CCI患者のすべての家族のためのルーティンまたは必須の緩和専門医の介入を支持しない
論文は結論だけでなく、中身をしっかりと吟味することが大事だなぁと、改めて学ぶ機会になりました。
興味がある方は、抄読会のスライドを見てみてください。 大学院卒業後も学び続ける環境があることはありがたいです。
抄読会の他にも、看護師の研究グループがICUにあります。
統計は未だにかなり苦手意識がありますが、我々のグループの課題図書はこの2冊です。
今回はChronic critical illnessな患者の家族に対しての介入に関する論文を読みました。
おそらく、緩和専門医の2回の面接よりもはるかに毎日関わる看護師の介入は家族にとって大きな意味があるでしょう。
良くも悪くも…。
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