人工呼吸器の歴史を振り返る

今の集中治療で人工呼吸器の管理って外せないポイントですよね。

人工呼吸器自体が患者を治療するってことはないわけで、患者の何をお助けしているのかなぁって考えることが大事な気がします。

そんな人工呼吸器の歴史についてまとめようと思います。

時代を遡ること1800年代の後半。

この頃から挿管や気切による気道確保が行われるようになり、実験的に進められていた侵襲的陽圧換気(IPPV)を臨床に応用する試みが始まりました。

しかし、合併症の危惧から、当初人工呼吸といえば陰圧式が主流でした。

どういうものかというと、患者を大きな鉄製の筒に入れて、頭だけ外に出して、首の周りをシールして密閉し、筒の中の空気を抜いて陰圧にします。

そうすると、胸郭が広がることで肺に空気が入るという仕組みの人工呼吸器です。

私たちの呼吸のメカニズム(横隔膜と外肋間筋の収縮することで胸郭が拡張し、胸郭が陰圧になることで受動的に肺が広がる)と基本的に同じ考え方です。

別名「鉄の肺」と言われるこの呼吸器、なかなか見た目も圧巻ですよね。

1929年にボストン小児病院でポリオの小児に使用され、その後ヨーロッパでは1950年代、アメリカでは1960年代まで人工呼吸器の主力として使用されていたらようです。

現在の陽圧人工呼吸器が使われるようになった大きなきっかけは、1952年のコペンハーゲンにおけるポリオの大流行と言われています。

3000人以上の患者が入院し、多くの呼吸麻痺患者に対し鉄の肺が使用されました。しかし、台数にも限りがあったため、手術室から麻酔器を持ち出して、挿管をしてバック換気が用手的に行われました。 機械がなかったので、医学生や一般学生のボランティアの助けを借りて…。

そして、ポリオの流行が落ち着いて、結果を解析したところ、当時のスタンダードとして考えられた「鉄の肺」に幸運にも入れた患者より、間に合わせに麻酔器と気管切開で人工呼吸を受けた患者の方が、生存率が高く、後遺症も少なかったのです。

これを契機に各国で1953年以降に陽圧式の人工呼吸器が開発されていき、現在の標準である呼吸器管理につながったわけです。

その後は、かつては換気障害のみをサポートしていた人工呼吸器が、1970年ごろからPEEPの効果が明らかになってきて、酸素化障害に対しても適応されるようになりました。

そしてこれ以降、圧を利用した換気法や人工呼吸器と患者の同調性などを考慮し色々なモードが開発されていき現在のような形になってきたわけです。

今のような陽圧式の人工呼吸器が開発されたのが1953年とかなので、この50-60年の目覚ましい進歩に驚くばかりです。

これらの歴史を踏まえて、人工呼吸器に何ができるのかって考えるとより理解が深まります。

今回、参考にした文献はこちらです。

特集:内科-100年のあゆみ(呼吸器)
人工呼吸器-過去,現在,未来

最新のことを学ぶことも大事ですが、改めて歴史について学ぶことって大切だなぁと感じました。

 

この本にも人工呼吸器の歴史をまとめて書いています。
是非、みてみてください♪

 

よーし、頑張るぞーーー!!
応援よろしくお願いします♪
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

看護ランキング

コメント