お悔やみの手紙の効果

今月、 ICUの抄読会を担当させていただきました。

今年の3月末にICM発表され
 Effect of a condolence letter on grief symptoms among relatives of patients who died in the ICU: a randomized clinical trial.という論文です。

ICMはIntensive Care Medicineの略で集中治療領域の代表的な雑誌です。
しかも、”SEVEN-DAY PROFILE PUBLICATION”と書いてあります。
きっと、重要な研究だから投稿されてからあっという間に採用・掲載された的なニュアンスの論文だと思われます。

内容は簡単に言うと、ICUで亡くなった患者の家族に対してお悔やみの手紙を送ったら、悲嘆症状は改善するか?を明らかにしようと多施設RCTを行っています。
RCTとは、研究の中でもエビデンスレベルの高い手法です。

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02833_11

介入の効果を調べる研究では対照群(コントロール群)が必要になります。
例えば、よくダイエットのCMで〇〇サプリを飲んだら5kg痩せましたー、っていうのありますよね。
でも、食事療法や運動療法をやってたかもしれないし(交絡因子)、〇〇サプリじゃなくてヨーグレットでも痩せたかもしれません(プラセポ効果)

なので、介入を比較する際に、同じ人に介入する場合と、しない場合を試せたら一番いいですよね?
でも、実際は同じ人間なんて存在しないわけです。

例えば、ドラゴンボールに登場する天津飯は“四身の拳”という技を使えます。

ナルトは“多重影分身の術”という術を使います。

このようなことが実際にできれば、同一人物に介入する場合としない場合の効果を検証することができます。
まぁ、実際には難しいですよね。

そこで編み出されたのがRCTです。
簡単に言うと、RCTは対象をランダム(無作為)に2群に分け、“介入あり”と“介入なし”で効果を見る方法です。
人間は一人一人もちろん違いますが、数が多くなるとグルーピの平均的な特徴は似るという特徴をうまく利用しています。
この方法を用いることで、先ほどのダイエットサプリの話では、食事療法や運動療法などの交絡因子を制御することができます。

話をICMの論文に戻します。

この研究では、ICUに入室した患者で、48時間以上経過して亡くなった患者の家族を対象にランダム化しています。
この研究の介入は、“お悔やみの手紙”を送ることです。

さて、介入の結果はいかに…。

なんか、良さそうな介入に見えますが、介入群の方が抑うつやPTSD症状が多くみられたようです。

うーん、なんでだろう??

私が考えるところによると、
今回のような対象に対して、私たちは相手の状況を考慮しながら様々な工夫をするはずです。
そこには“技”があるわけで、プロトコールで決められた今回の介入では不十分(場合によっては悪影響)だった可能性があるのではないかと思います。

しかし、今回の研究のように、正しいと思われていることを科学的に検証することはとても貴重だと思います。
“看護はアート(技)でありサイエンス(科学)だ”と言われますが、この二つの柱の重要性を再確認するメッセージ性の高い論文ではないかと思います。

詳しい内容にご興味のある方は、ぜひこちらをご覧くださいませ。

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