申し送りで「SOFAが上がっています」と聞いたとき、患者さんのどのような変化を思い浮かべるでしょうか。
SOFA(Sequential Organ Failure Assessment:臓器障害の程度を評価するスコア)は、ICU(intensive care unit:集中治療室)で目にする指標の一つです。2025年には、その改訂版であるSOFA-2の開発・検証結果が発表されました。[1]
今回は、点数を覚える前に「何を見るスコアなのか」「何が変わったのか」「点数だけでは分からないことは何か」を整理します。
※登場人物と会話、計算・申し送りの例は学習用のフィクションです。

SOFA-2という新しいスコアが出たそうですね。新しい正常値を覚え直すのでしょうか? まだ元のSOFAも、合計点を確認するだけになってしまっています。

まず、正常値の一覧とは目的が違うことを押さえよう。六つの臓器系の障害を整理するスコアなんだ。「合計何点か」の次に、「どの臓器の、どんな状態が点数に表れているか」を見る練習から始めよう。
六つの臓器を、共通の枠組みで捉える
SOFA-2は、脳・呼吸・循環・肝臓・腎臓・止血系という六つの臓器系を、それぞれ0〜4点、合計0〜24点で評価します。高い点数ほど、より強い臓器障害を表すよう設計されています。[1]
下の表は、ベッドサイドで考えるための学習用の整理です。採点基準表ではありません。
| 臓器系 | 点数を見るときに立ち戻りたい情報 |
|---|---|
| 脳 | 意識や反応、せん妄治療のための薬剤使用、評価時の状況 |
| 呼吸 | 酸素化と、それを支える呼吸補助 |
| 循環 | 血圧と、それを支える薬剤・機械的補助 |
| 肝臓 | 総ビリルビンなどの検査情報 |
| 腎臓 | クレアチニン、尿量、腎代替療法の状況 |
| 止血系 | 血小板数などの検査情報 |
採点には細かな定義や条件があります。実際の計算は、原著の表・脚注と施設で採用している手順を確認します。[1]
現在の治療を、評価に反映するための更新
1996年の原版から、集中治療で使う薬剤や臓器補助療法は変わってきました。SOFA-2では、その変化を踏まえ、六つの臓器系の評価項目や閾値が見直されています。[1]
看護で目にしやすい四つの臓器系を例に、更新の中身を見てみましょう。以下は採点条件の概要です。実際の点数は原著の表・脚注で確認します。[1]
脳: 意識や反応の評価に加え、せん妄を治療するための薬剤が必要な場合も評価に反映するようになりました。[1]
呼吸: 酸素化の閾値が見直され、高い点数の評価には高度な呼吸補助の条件が関わります。ECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)も評価に組み込まれています。[1]
循環: ノルアドレナリンとアドレナリンを合算した投与量、ほかの昇圧薬・強心薬との併用、機械的な循環補助を反映する枠組みに更新されました。[1]
腎臓: クレアチニンの閾値や尿量の扱いが見直され、尿量低下が続いた時間、腎代替療法を実施中か、定められた適応基準を満たすかも評価に関わります。腎代替療法への着目は、従来からの評価を現在の診療に合わせて明確にした点として読みます。[1]
「数字が同じなら、状態も同じ」とは限らない。何に支えられている数字かを読む。 これを、採点を通じて確かめたいところです。

血圧が保たれていても、薬を増やして維持している場合がありますね。測定値だけを見て「安定しています」と言う前に、その値を支えている治療も確認するのですね。

その通り。もう一つ、旧版と改訂版の点数をそのまま比べないことも大切だよ。同じ名前のスコアでも、採点の条件が変わっている。「何点から何点へ」の前に、同じ基準で評価したかを確かめよう。
約334万件のデータで開発・検証。合計点を調べた対象は?
開発・検証には、9か国・1,319 ICUの約334万件のデータが使われ、日本のデータも外部検証に含まれました。このうち、合計点を算出できた5つのデータ集団(約100万件)で、合計点とICU死亡との関係などを評価しています。[1]
検証したのは臓器障害の評価指標としての性質です。スコア使用による予後改善を検証した試験とは区別し、個人の回復や治療の希望は、病状や本人の意向と合わせて考えます。
大規模な研究という強みを受け止めつつ、そのスコアが答えようとしている問いの範囲を意識して読みます。
同じ合計4点でも、中身は違う
ここで、採点方法ではなく「合計の読み方」の練習です。すでに正しい基準で各臓器の点数が付けられた、架空の例を考えます。
| 架空の例 | 各臓器の点数の一部 | 合計 |
|---|---|---|
| Aさん | 呼吸2点+腎臓2点、ほかは0点 | 4点 |
| Bさん | 循環4点、ほかは0点 | 4点 |
2+2=4、4+0=4。 合計点は同じでも、障害の内訳は異なります。
「4点だから同じ状態」とは言えません。看護で見ている問題や、チームに確認したいことも違うはずです。合計の内訳を開き、患者さんの状態と結びつけて読む練習です。
申し送りでは、点数に一文を足してみる
ここからは研究が検証した報告方法ではなく、本記事の学習上の提案です。
「合計点」「どの臓器が変わったか」「その変化をどう捉えたか」をつなげてみます。
SOFA-2の合計点が前回より上がっています。今回は循環の項目が変わりました。血圧の推移だけでなく、昇圧薬の投与量が増えている点を確認して、担当医と共有したいです。
同じ評価方法・時間枠で比べているかも確かめます。患者さんの様子と採点結果が合わないと感じたら、入力値や評価条件を見直すきっかけにしてください。逆に、点数が変わらないことだけで、新しい症状や苦痛を見過ごさないようにします。

合計点を伝えれば全体像が伝わると思っていました。まず内訳を見て、自分が観察したことと結びつけて話してみます。点数に表れない苦痛や、患者さんが大切にしていることも一緒に考えたいです。

いいね。スコアを確かめる時間が、その人を見直す時間になるとよいね。採点の正しさと、患者さんの全体像をつかむこと。その両方を少しずつ練習していこう。
今日のひと工夫
SOFA-2を確認したら、「どの臓器が変わったか」「その値をどんな治療が支えているか」を、一文ずつ説明してみてください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
- Ranzani OT, Singer M, Salluh JIF, et al. Development and Validation of the Sequential Organ Failure Assessment (SOFA)-2 Score. JAMA. 2025;334(23):2090–2103. 原著









